インフルエンザはあらゆる年齢層を襲うが、最も感染しやすいのは小児層で、流行に際しては真っ先に胃される。
しかし小児の場合、死亡率は低い。
高齢者の場合、状況は逆になる。
彼らは過去に同じ型のウイルスに接触した経験があるため催忠率は低いものの、いったん感染すると死亡率は高くなる。
感染以外の合併症、合併症を伴ったインフルエンザはとくに高齢者や虚弱な病人に見られるものである。
インフルエンザに合ハイリスクグループ併症が伴った場合には、病状が非常に危険なものとなりやすい。
合併症はとくに高危険群と呼ばれている人たちに多い。
これらの人たちは必ずしも、最も感染をうけやすい人たちというわけではない。
高齢者に関しが感染する以前の不安定な均衡状態が破綻をきたしたために生ずるものであろう。
インフルエンザが惹き起こした一般状態の変化によって、心臓、腎臓、肺臓などの必須の臓器の軽い傷害が悪化し、その機能の低下をもたらすのである。
もっとも、これらの失調は必ずしもインフルエンザが原因となっているものではなく、インフルエンザはきっかけの役目を果たしているに過ぎない。
細菌による重感染もうひとつの合併症は、インフルエンザ・ウイルスの感染があると、引き続いて細菌感染が容易となってしまう結果から生じるものである。
この現象は、インフルエンザ・ウイルスがほかの微生物による重感染の《ベッドを整える〉と表現される。
現在、両者間にある種の生物学的メカニズムの存在することが知られている。
すでに存在していた気管支病のすべてが重感染をうけやすい重要な危険要因となる。
重感染する細菌には様々なものがある。
ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌などがそれであるが、さらにヘモフィルス・インフルエンザとある種のグラム陰性菌が加わる。
化膿性の鼻炎と気管支炎は慢性型に移行しやすいものの、予後は良好である。
肺疾患の存在する場合が最も恐ろしい。
すなわち、発病後数日を経て突然肺症状が現われ、その症状はウイルスの影響で強まり、呼吸困難に陥ったり、臨床所見とレントゲン撮影で肺の濃影化を認めるのが特徴である。
抗生剤の投与で発病頻度と重篤度を低下させることはできるが、これらの重感染は以前から抱えていた呼吸不全、心不全、糖尿病などの病気が回復不能になる主要な要因となっている。
細菌とインフルエンザ一それは共存なのかまたは共棲なのか?ては、細菌の二次感染による肺炎が死因の大部分を占めている。
この合併症は、通常は病原性に乏しい細菌の仕業のこともあるが、この細菌がウイルス感染後に出現した時には、強い毒力を獲得しているのである。
このことは、ウイルス感染によって細菌の性質が変化したことを意味している。
この現象を解明するために行なわれた研究のほとんどは、インフルエンザ・ウイルスと防御機構に関与する血液細胞との聞の相互作用の問題に帰着した。
しかしそれは、インフルエンザ・ウイルスが細菌の重感染を容易にする唯一のメカニズムでないことは明らかである。
その上、逆の場合もあって、インフルエンザ・ウイルスが増殖する際には細菌の側から必須の因子を供給するが、それはほとんどの細胞に欠けているものなのである。
呼吸器粘膜の繊毛上皮への破壊効果、気管支上皮の粘膜構造と繊毛細胞は、細菌の攻撃に対する最初の防御線を構成する要素となっている。
ウイルスの作用によって生じた組織学的な障害、とくに電子顕微鏡で観察される程度の繊毛の部分的または全体的な《毛切れ〉のほかにも、インフルエンザの感染中・感染後に繊毛装置の機能の変化の起こることが知られている。
この変化が元に戻るには時間を要し、挨や細菌類を機械的に排除することができなくなり、その状態が数週間残存するので、生体の一部が無防備な状態となる。
ネズミを用いたモデル実験では、たとえばリステリア菌を人為的に同時感染させると、マクロファ機能低下によって死亡率の増加を引き起こすことが示されている。
この菌に対する抵抗性は、特異的に感作されリンパ球がマクロージを活性化することで保持されているのである。
多核球に対するインフルエンザの影響に関しては多数のデータがある。
ウイルスが存在すると、多核球の化学走性能と殺菌能の低下を来す。
しかし、食菌作用はたいていの場合保持したままである。
医学研究者によっては、合併症としての中耳炎はこの穫の多核球の機能変化に起因すると考える人もいる。
セラチア・マルセセンス、ストレプト・フスタフィロスアウレウスについて行コァカスエコツカ・なわれた試験管内実験では、ヒトの血液の多核球をウイルスと接触させたあと二十四時間経過すると、これらの細菌を排除する能力がほとんど失われてしまうことが示されている。
場合によっては、ウイルスの毒力または弱毒化の程度は多核球のもつ阻害活性に関係があり、また加熱によって不活化したウイルスはまったく効果を示さない。
これらの実験で用いられた細菌について研究してみると、食細胞による摂取はほとんど正常であるものの、摂取された細菌は殺されることなく生きていることがわかっている。
したがって、本来は生体防御のために、侵入した微生物を処理すべき細胞の食薗能が、ウイルスによって変化させられていることになる。
患者や生ワクチンを試験的に投与された若年成人では、流血中のリンパ球数が減少してウイルスの増殖を容認していることが多数の研究者によって指摘されている。
それはンパ球の芽球化の減少と遅延型皮膚過敏症反応の消失の結果として生じる。
同様の影響は、軽度ではあるが、不活化ワクチンの接種後にも観察されている。
この特性はウイルスの構成成分、例えば血球凝集素に起因すると思われる。
ウイルス感染が激しいほど、免疫担当細胞に対するこれらの様々な影響の全体がいちじるしいものになる。
マクロフアによる抗原の断片化とBリンパ球の機能などの白血球のほかの機能に関しては、類似の現象は報告されていない。
エイズの病原体であるヒト免疫不全ウイルスが同じような性質を有していることが知られているある種のリンパ球内で増殖し、宿主細胞を迅速に殺してしまう。
インフルエンザに限った場合にも適度の免疫抑制状態の生じることが観察されている。
白血球、ンパ球の前駆細胞である幼若な芽球を形成することをいう。
細菌の付着を促進する効果感受性細胞表面への細菌の付着は、ウイルスの作用によって細胞表面に新しい抗原が露出することで促進される。
すなわち、ウイルスのもつ特殊な酵素であるノイラミニダ別名シ)の働きで、細胞表面の糖たんぱく質が修飾をうけ、酵素の作用後は細胞膜上で新しい反応性が現われやすくなるのである。
たとえば、植物レクチンのひとつ(ピアグルチ)のの存在が容易に証明できるようこの性質を利用して、ウイルスのもつシアリターゼ活性量を簡単に測定できる。
ウイルスがおこすこの増強効果は、ウイルスのノイラミニダゼに特異的な作用に起肉するように思われる。
ウイルス単独では類似の効果を示さない。
この現象は、細菌が本来持っている能力以上にその毒力を増強するものである。
は、もともとそれ自身に病原性があったもの、本来は病原性がなかったものがそうなったもの、など様々である。
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